<2>ライティングからモデリングまで、ゼネラリストTDとして様々な仕事に携わる日々
ーー現在、働いている会社について簡単に紹介してください。
ダブル・ネガティブは数多くの受賞歴をもつ大手VFXスタジオで、現在はロンドン、バンクーバー、そしてムンバイにスタジオを構えています。近年では、アニメーション映画も手がけていて、長編アニメーション部門(ロンドン)や、テレビ番組を手がけるダブル・ネガティブTV(DNegTV/ロンドン・ロサンゼルス)があります。過去の受賞歴にはアカデミー賞(『インセプション』、『インターステラー』、『エクス・マキナ』)や、英国アカデミー賞のBAFTA(『インセプション』、『ハリー・ポッターと死の秘宝パート2』、『インターステラー』)などがあります。
ーー現在の仕事の面白いところは、何でしょうか。
現在のポジションはゼネラリストTDで、主にライティングを担当することが多いですが、出来上がったアセットをレイアウトしたり、実写素材に合わせてライティングを行いレンダリングして仮合成したり、ときにはモデリング作業があるなど、案件に応じて様々な作業を担当できる点が面白いと思います。エフェクトのレンダリングを手がけることも多いので、エフェクトによって世界観をつくり上げていくという意味でも、とても魅力のある重要な部門だと思っています。
ダブル・ネガティブの同僚と
ーー話が少し戻りますが、海外で働くための英語はどのように勉強されたのでしょうか。
最初の就職先だったデザインオフィスJINを退職した後、半年間、英語留学していたのですが、そこで身についたスキルレベルは「少し話せる程度」でした。その後、海外で就職すると決めてから2~3年の間も、インターネット英会話などを利用し少し勉強していた程度です。正直、「行けば何とかなる」と考えていましたので(笑)。こちらに来て思うのは、やはり英語はとても重要だということです。今でも英語にはかなり苦労させられていて、正直、もっと勉強しておけばよかったと痛感しています(苦)。なので今でもボキャブラリービルダー(単語帳)や英語のレッスンを受講し、勉強中です。
ーー将来、海外で働きたい人へのアドバイスをお願いします。
英国のVFX業界では様々な国の人が働いています。その中で採用を勝ち取るには、やはりデモリールのクオリティが大きなポイントになると思います。就職を希望する会社の作品を分析し、リクルーターの目にとまるようなデモリールを目指すことが大切だと思います。そのほかにはインターンシップの活用が、とても良いきっかけになると思いました。やはりビザ所有者の方が会社も採用しやすいと思うので、まずはインターンシップビザを取得する方法も有効かと。
ほかにも、私の場合は「どういう人が採用されているのか」ということをよく考えていました。と言っても手探りでしたが、例えばLinkedInなどで公開されている企業情報を収集し、採用されている人に共通するポイントはなんなのか、リサーチを行ったりと。そういったことを積み重ねることで次第に採用のイメージができ上がり、目標の実現に近づいていったのではないでしょうか。
日本にはとても優秀な方がたくさんいらっしゃいますので、皆さんにチャンスがまっていると思います。
【ビザ取得のキーワード】
1.大阪市立工芸高等学校を卒業
2.デジタル・メディア・ラボなどの国内CGプロダクションで経験を積む
3.フリーランスとして活動中、約3年間の海外転職就職活動を経る
4.イギリスのダブル・ネガティブに就職、就労ビザ Tier5を取得
info.
-
【PDF版】海外で働く映像クリエーター ~ハリウッドを支える日本人
CGWORLDで掲載された、海外で働くクリエイターの活躍を収めた記ことを見やすく再編集しました。「ワークス オンラインブックストア」ほかにて購入ができるので、興味のある方はぜひ!
価格:1,296円(税込)
総ページ数:369ページ
発行・発売:ボーンデジタル
www.borndigital.co.jp/book/648.html