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Vol.116 菖蒲

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Road to Generalist ゼネラリストになりたい! 13

3ds Max 2021にアップデート

本稿が掲載される頃は、リリースから1ヶ月ほど経っている時期だと思いますので、すでに導入されている方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。毎年このタイミングですが、アップデートされた3ds Max 2021のレビューです。

3ds Max 2021レビュー

Arnoldがデフォルトレンダラに

▲まずはスタート画面。このあたりのレイアウトは、3ds Max 2017前後からあまり変更がないようです。熟練のスタッフでも、左上のバージョン番号を見なければちがいを見分けるのは難しいです。

▲これまではスキャンラインレンダリングがデフォルトでしたが、3ds Max 2021からArnoldが正式にデフォルトレンダラになりました。後で変えられるので、そこまでの感動はないですね。

▲このタイミングでCGや3ds Maxを勉強しはじめる人にとっては、Arnoldの美しいレンダリングに最初から触れることができるのは幸運なことだと思います。ちなみに他のレンダラも健在です。ARTレンダーを使っている人っているのだろうか......。

OSLマップの増強

▲マテリアルエディタには、見たこともないほど多くのOSLマップが。

▲OSLマップ自体以前からインストールされていましたが、今回は便利な機能が増強されました。その1つカメラマップ。標準でもあるので「なぜ?」といった感じですが、より簡単にコントロールができるようになっています。

▲3ds Maxの標準ではなかったHDRマップをカスタムできるOSLマップ。半球状にして地面をつくったりと、V-RayのHDRマップと同様のことが可能に。

▲HDRにはサンプルのライト画像がいくつか用意されています。

▲それを環境マップに設定して、Arnoldと連携することでリアルタイムにHDRのライティングを変更、追加することができます(執筆している4月上旬の現在、日本語版ではエラーが出ました)。

▲以前にもテクスチャベイク機能はありましたが、とても複雑で私の授業でもよく質問される項目のひとつでした。今回の機能はとてもシンプルにベイクできます。

▲Substanceのマテリアルが2になり、より柔軟に対応できるようになりました。

▲PBRマテリアルもいくつか増強され、金属系などの特殊なマテリアルも再現できるように。ビューポートでの作業に幅が広がります。

NOTE

今回のアップデートでArnoldが標準になったように、レンダラやマテリアル周辺の強化が目立ちますね。スキャンラインがメインだったレンダリングの弱い部分の強化が目的でしょう。ちなみに、個人的にスキャンラインは好きです。Mental Rayがなくなってから、ようやくArnoldが標準に落ち着いた感じですね。高価なレンダリングプラグインを使用しなくても、標準機能だけでクオリティの高い作品をつくることが可能になるのはとても素晴らしいことです。しかし、全体的な印象は3ds Max 2018あたりから大きな変化はなく、細部の強化がされたといった感じですね。



[Information]

  • 株式会社画龍 早野海兵 監修
    3DCGベーシック講座[3ds Max]

    3ds Maxを本当にゼロからスタートする方のために作成したオンライン講座です。本講座は画づくりと技術アップの両面を重視しています。また、3ds Maxの様々な実践的な機能を動画で収録しているため、後々機能のリファレンスとしても使用可能です。ぜひ、この機会に3ds Maxを通してCGの世界に!
    online.dhw.co.jp/course/3dcg

[プロフィール]
早野海兵
日本大学芸術学部卒業後、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント、(株)リンクス、(株)ソニー・コンピューターエンタテインメントを経て、フリーランスで活動。2007年(株)画龍を設立。
www.ga-ryu.co.jp
www.kaihei.net
Twitter:@Kai_ryu_Kai

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