Generalist Style 10
ゼネラリスト向けの情報を掲載する「Generalist Style」コーナー。3DCGソフト以外の連携で使えるソフトやプラグインなどの情報をご紹介します。ゼネラリストは様々な仕事ができないといけません。あらゆる方法で楽しみながら作品のクオリティアップをしていきましょう!
コンポジットもゼネラリストの大切なお仕事
ゼネラリストのお仕事で避けては通れないのが「コンポジット」です。筆者にとっては、避けるどころかとても好きな工程のひとつですが、コンポジットは作業に入る前の準備に非常に時間がかかるもの。CGカットを担当していると、このあたりを見落としがちです。今回は、コンポジットに入る前にやっておくべき工程をご紹介します。
1.膨大なデータの変換
▲撮影した膨大な量のデータフォーマットは様々ですが、今回はQuickTime(以下、QT)で出力されたと仮定します。QTの場合は、AEよりもPremiere Proの方が格段にレスポンスが速いです。元の音源と合わせつつ撮影したパートを並べていきます。ここは忍耐が必要な手作業です。その後、Premiere ProからAEに変換します。これは近年とても簡単になりました。とはいえ、1フレーム単位の調整においてはAEに軍配が上がります。また、古いPCで作業していて今さら気がついたのですが、「USB 2.0」と「USB 3.0」ではキーボードの反応に雲泥の差があります。できれば転送速度が速いキーボードで作業したいですね。
2.撮影素材の記録
▲撮影素材は撮影したときにきちんと記録しておくものですが、記録が間違っていると後々大変なことになります。全編の撮影に立ち会っていたなら記憶を頼りにすることができます。しかし、誰かに任せるとなると回復はかなり難しくなります。そういった意味でも、素材の撮り始めの「カチンコ」はかなり重要です。
▲素材が大量にあるとフォルダ作成も大変な作業になります。このあたりはWindowsの機能で一気に作成。
▲TVやCMとちがい、PVやイベント映像は画面のサイズがそれぞれまちまちになります。イベント映像の場合は本当にバラバラなのでここでは割愛しますが、PV系の映像では見た目のカッコ良さでシネスコやビスタが使用されることが多いです。
▲ウルトラパナビジョンが企画サイズだとかなりの細さになります。ちなみに、納品はHDが多いので、その場合はこのように上下に黒味を入れる「レターボックス形式」になります。レンダリング範囲が減るのでCGアーティストにとってはとても嬉しいのですが、中には「黒味の部分も納品してほしい」というクライアントも。
NOTE
●スタンダードサイズ
1.375:1または1.33:1、昔の4:3の画面。近年IMAXでもこの比率が採用されている。
●ビスタサイズ
1.66:1(ヨーロッパ)、1.85:1(アメリカ)。
●シネマスコープ
2.35:1
●パナビジョン
2.35:1か2.4:1
●HD
1.78:1 TVの比率はこれ
3.文字入れ作業
▲一般的に文字入れの作業はデジタルアーティストにとって範囲外の作業ですが、文字が素敵に入ると作品の質がグッと上がって見えます。タイムラインも、可能であればセンスの良いものにしたいですね。
▲いつからかAEのフォント作業はアニメーションのパラメータが付いて動かしやすくなりましたが、少々面倒くさい点も。簡単にフォントアニメーションを付けられる無料のプラグイン、Animation Composerがとても秀逸です。
[Information]
-
株式会社画龍 早野海兵 監修
3DCGベーシック講座[3ds Max]
3ds Maxを本当にゼロからスタートする方のために作成したオンライン講座です。本講座は画づくりと技術アップの両面を重視しています。また、3ds Maxの様々な実践的な機能を動画で収録しているため、後々機能のリファレンスとしても使用可能です。ぜひ、この機会に3ds Maxを通してCGの世界に!
online.dhw.co.jp/course/3dcg
[プロフィール]
早野海兵
日本大学芸術学部卒業後、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント、(株)リンクス、(株)ソニー・コンピューターエンタテインメントを経て、フリーランスで活動。2007年(株)画龍を設立。
www.ga-ryu.co.jp
www.kaihei.net
Twitter:@Kai_ryu_Kai
[credit]
モデル:BERED
撮影協力:プロデューサー・城戸孝夫(東京工芸大学・准教授)/ライティングマネージャー・加藤英彦/アシスタント・齋藤友世
機材:Hasselblad JAPAN 、日本HP