<4>エフェクト制作
ディテールが追求されたエフェクト
本作では、ビッグBに絡む煙や爆発などシミュレーション系のエフェクトが多数使われている。ビッグBの排気口から出る熱の揺らぎなどは、モデルのアセットとして制作されているが、ローターが回ったときに起こる土埃や爆発の炎や煙はFumeFXとthinkingParticlesを使ってシミュレーションされている。エフェクトチームが作成したエフェクトの素材はそのままショットに使用することはほとんどなく、コンポジットで組み合わせながらさらにディテールのある画に加工された。
ネタバレになってしまうのであまり詳しくは言えないが、エフェクト制作の中で一番苦労した点はビッグBの爆発エフェクトだという。爆発ショットではハイスピード処理された映像になっているため、24fpsの状態ですでにハイスピードの動きになっているアニメーションを3ds Maxで120fpsになるようにfpsを調整してシミュレーションが行われた。
「爆発のエフェクトの中で一番難しかったのは、爆発時にビッグBも壊れていくのですが、それらの破片が爆発のエフェクトに紛れて目立たなくなってしまう部分の調整でした。壊すところを手作業で壊して調整していたのですが、パーツが細かすぎて大変な作業になってしまいました。そこで日頃からパイプラインを使わせてもらっているJCGSさんから、JCGSカッターというオブジェクトをエフェクト用に粉砕するツールを利用させてもらったことで、非常に助かりました。ただ、JCGSカッターは直感的にオブジェクトを切ることができるので、調子に乗って細かくしすぎてシミュレーションが回らなくなることもありましたね(笑)」とエフェクトを担当した岡野良久氏は語る。
▲<1> FumeFXとthinkingParticlesによる火球エフェクトのシミュレーション作業画面。要素が多いので、ビッグB周りのパーツはXMesh化している
▲<2> JCGSカッターの作業画面。ユーザーが描いたライン通りにオブジェクトを綺麗に切断することができる
▲<3> 背景素材
▲<4> ビッグBのレンダリング素材
▲<5> JCGSカッターなどで作成した破片素材
▲<6> 火球素材
▲<7> ショックウェーブ(衝撃波)素材
▲<8> 爆発による照り返し用素材
▲<9> 全ての素材を合成しフレアを足したもの
▲<10> ブラーなどを処理をした最終状態
上空の雲をエフェクトで作成した例。
▲<1> 雲のシミュレーション作業画面
▲<2> 雲のシミュレーション画面その2。いくつもの状態の異なる雲を別々に作成し合成して利用している
▲<3> 背景素材
▲<4> Bell412のレンダリング素材
▲<5> ビッグBのレンダリング素材
▲<6> いくつもの雲素材を合成したもの
▲<7> 全てを合成した最終ショット