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ハイクオリティ&フォトリアリスティックな動物たちが所属するデジタル動物プロダクション『LiNDA ZOO』

ハイクオリティ&フォトリアリスティックな動物たちが所属するデジタル動物プロダクション『LiNDA ZOO』

02 ツボを押さえた、3DCGベースのグラフィックデザイン

新たな技法を採り入れてさらなる高みを目指す

続いては、最近の事例として、三井のオフィス「COLORFUL WORK PROJECT」ポスターグラフィック制作を紹介しよう。ビジュアルコンセプトは「出勤するビジネスマンたち」。実作業はスタンバイ中の動物アセットをベースに加工調整するかたちで進められた。リグ&セットアップは、橋本氏が自主的に検証を重ねていたmGearを採用。「従来はAdvanced Skeletonを利用していたのですが、より高いコストパフォーマンスが期待できると判断して、mGearに切り替えました」。そして、大小様々な動物が登場するため、熊谷英夫スーパーバイザーと北田清延ディレクターが助っ人として参加。熊谷氏は、ライオン、ゾウガメ、キリン、フラミンゴなどを担当。北田氏は、白熊、バイソン、狐、ゴリラ、ペンギンなどを担当した。種類も頭数も多いため、質感を高める上では写真素材も併用することで作業効率を高めたという。同様に、背景についても写真をベースにしているが、レイアウトを組む上ではリファレンスとなる背景セットが3DCGでしっかりと構築された。そしてカメラを趣味とする橋本氏が本番用の写真撮影を担当、早朝5時頃に東京駅付近で撮影したものをブラッシュアップしている。

動物には毛並みの表現がつきもの。LiNDAでは、これまでMayaプラグインのShave and a Haircutを使っていたというが、様々な検証の結果、現在はYetiをメインツールに採用している。「将来的には、Houdini Bros.と連携するという意味でもHoudiniに集約できればと思っているのですが、当面は、品質も良くコントロールもしやすいYetiを使用しています」と、熊谷氏。レンダラは、MayaではRedshift3ds MaxではV-Rayを採用。Redshiftは以前に手がけたライド系アトラクション用のCGアニメーション制作で導入してみたところ、確かな成果を上げることができたことから今ではメインレンダラとして常用しているそうだ。「Redshift向けにGeForce GTX 1080 Tiの2枚挿しマシン×3台、1080の2枚挿し×11台で構成された専用サーバで運用しています。今回のプロジェクトでは、キャラクターのみのレンダリングということで1フレーム3分くらいで済みました」(橋本氏)。

「自主プロジェクトであるLiNDA ZOOを、実際の案件につなげることができて本当に感謝しています。動物の種類が多く、さらに大判サイズに対応できる高解像度が求められたりと苦労もしましたが、そうした意味でも良い経験になりました。LiNDAとしては今後もフォトリアルなCG・VFXを追求していきますが、熊谷は英語コミュニケーションにも対応できるので、彼を通して海外案件も積極的に手がけていきたいですね」(桑原氏)。

チーター(井上氏が担当)



  • ポージングを調整の上、影素材等もまとめてAlembic形式で書き出す



  • 最終のレンダリングイメージ

サイ(橋本氏が担当)



  • mGearによるリグのセットアップ。「グラフィック制作では、望遠レンズで正面から撮影するポージングのみということだったので、必要最低限のセットアップに止めて作業効率を高めました」(橋本氏)



  • 最終のポージング

キツネ(北田氏が担当)



  • 3ds Maxで作成したキャラクターモデルの毛は、標準のHair&Furを使用。「印刷物ということでアップに堪えられるよう、毛の本数をベースモデルから2~3倍まで増やし、より自然に見えるように調整しました」(北田氏)



  • Mayaで作成された動物たちとライティングを合わせるため、他のモデルを読み込み環境を合わせた上でレンダリング

雌ライオン(熊谷氏が担当)



  • Shave and a Haircutで毛並みのながれを調整の上、ポージング。Redshiftプロキシで書き出す



  • Photoshopによる最終的なレタッチ作業の例

クマ(飯田氏が担当)



  • ポージングの上、Alembic形式で書き出す



  • レイアウトシーンに読み込み、影等の素材とまとめてRedshiftでレンダリング


動物たちのCG素材をレイアウトシーンに読み込み、レンダリング


レンズ感やアングル、道路のリファレンスとして作成された背景セット。これをガイドにロケハンを行い、背景の写真撮影が実施された(橋本氏が担当)


ラフモデルをOBJ形式でレイアウトシーンに読み込みポージング


Photoshopで最終調整を行う(井上氏が担当)



  • レイアウト。ライティングを調整



  • 毛を生成したAlembicファイルに差し替えた後、Redshiftでレンダリング。さらにカラコレを施しつつ道路の質感もブラッシュアップ



  • 空気間を演出する足元の煙や右上から射し込むレイ素材を合成



  • 各動物モデルのレンダリングイメージを1体ずつ読み込み、各々に足元の煙や照り返しの素材を重ねた上で最終的な調整を行う


完成したポスターグラフィック



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