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Vol.112 子鼠

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Road to Generalist ゼネラリストになりたい! 01

ゼネラリストの基本は「広く浅く」

今号からゼネラリスト向けのピンポイントなチュートリアルを始めます。最近、様々な学校に伺う機会があり、そこでCGに興味をもっていただけることが多々あるのですが、「何か参考になるものはありますか?」とよく聞かれるんです。拙著『テクスチャイリュージョン』と言いたいところですが(笑)、こちらは中級者向けの特殊技術を紹介した書籍なので、ここでは初心者でも取り組みやすい「考え方」や「画づくり」を含めて解説していきます。

Theme「組み木」

準備

▲今回は日本の伝統、「組み木」でパーツを作成してみましょう。最初に覚えるのは「移動」「回転」「コピー」です。日々の作業の半分以上はこういった基本操作です。

▲初めて触る方のために......今回使うボタンです。これだけです。今回はこれだけ覚えてください。

▲ちなみに皆さん、プリミティブで「BOX」がありますが、このBOXのつくり方は何通りあるかご存じですか? 簡単なものでは「プリミティブボタンを押す」ですが、ほかにもスプラインから作成したり、押し出したり、パーティクルだったりと、用途に応じた様々な作成方法があります。ただのBOXでもこれだけの作成方法があるわけです。3Dでつくるモデルは、多くのアプローチの方法があるはずですよね。

2.デザイン

▲まずは作成パネルの中からボックスを選択。1本の木材を作成します。サイズは「8」「10」「120」あたりで、情報量を増やすために意図的に3辺をバラバラにします。

▲移動ツールで図のように移動した後、「SHIFTキー」を押しながら「横×方向」に移動するとコピーできます。このとき「インスタンス」を選びましょう。インスタンスとは、コピーの中でも「同じものをつくるコピー」です。

▲次に、回転ツールを使ってもう1本コピーしたものを90度回転させます。ツールボタンを右クリックすると、図のような数値入力ボックスが出てきます。

▲回転したものを上に1つ移動コピーした後、さらにもう1本コピーして横に45度コピーします。

▲さらに反対側に回転でコピーして、少し上に移動しておきます。この「ちょっと移動」の手間が組み木らしさを演出するポイントです。

▲ここで親子関係を築きます。3ds Maxの親子関係は崩れません。いわゆる「リンク」ですね。リンクボタンを押して、右の木材から左の木材にドラッグします。

▲親の方の木材をダブルクリックすると、子の木材も選択されるようになります。その状態で移動コピーすると、一度に2つコピーできます。こういったコピーの概念はWindowsのファイルと同じです。

▲コピーした親の方を選択して、これも同じく90度回転させましょう。子も一緒に回転できます。

▲最後に、間に2本木材を移動コピーして終了です。ここでも「ちょっと移動」でバランスを整えましょう。

3.仕上げ

▲ここまでの工程が上手くできたら、次は木目調の色を付けてみましょう。キーボードの「M」もしくは「マテリアルボタン」を押します。その後、スタンダードマテリアルとサブスタンスの木目を選択ドラッグで繋げます。あとはドラッグしてモデルにもっていきます。

▲組み木は、こういった基本機能を使ってバリエーションが増やせるので、いろいろとつくってみましょう。

▲この構造物は、山口県岩国市にある錦帯橋(きんたいきょう)をモチーフに作成したのですが、こちらも今回と同じBOXだけで作成しています。基本機能をいかに応用して知恵にするか、がゼネラリスト的なつくり方です。



[Information]

  • 株式会社画龍 早野海兵 監修
    3DCGベーシック講座[3ds Max]

    3ds Maxを本当にゼロからスタートする方のために作成したオンライン講座です。本講座は画づくりと技術アップの両面を重視しています。また、3ds Maxの様々な実践的な機能を動画で収録しているため、後々機能のリファレンスとしても使用可能です。ぜひ、この機会に3ds Maxを通してCGの世界に!
    online.dhw.co.jp/course/3dcg

[プロフィール]
早野海兵
日本大学芸術学部卒業後、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント、(株)リンクス、(株)ソニー・コンピューターエンタテインメントを経て、フリーランスで活動。2007年(株)画龍を設立。
www.ga-ryu.co.jp
www.kaihei.net
Twitter:@Kai_ryu_Kai

[credit]
モデル:BERED
撮影協力:プロデューサー・城戸孝夫(東京工芸大学・准教授)/ライティングマネージャー・加藤英彦/アシスタント・齋藤友世
機材:Hasselblad JAPAN 、日本HP

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