>   >  VFXアナトミー:4DViewsを活かした即興的な演出によるカオスなCGアニメーション、chelmico『Easy Breezy』MV
4DViewsを活かした即興的な演出によるカオスなCGアニメーション、chelmico『Easy Breezy』MV

4DViewsを活かした即興的な演出によるカオスなCGアニメーション、chelmico『Easy Breezy』MV

02 ショットワーク~実写合成パート~

素材の良さを活かした画づくりを実践

今回は、あえて絵コンテやビデオコンテで詳細を詰めずに、自由に演じてもらったchelmico2人のパフォーマンスのスキャンデータを確認しながら、CG・VFX本制作を進める中でビジュアルを創り上げていったという。「ポストプロダクションは1ヶ月半ほどの期間がありましたが、3DCG、コンポジット、カラコレなど全ての作業を自分ひとりで行いました。年末年始は、朝起きてから食事入浴などの時間以外は寝るまで作業していましたね(笑)」(田向監督)。頭から順番に4DViewsのスキャンデータを見ながら、どんな風にCGで加工するのが面白いかを考えつつ、まずは全尺を埋めてから気になるところを随時ブラッシュアップしていくという要領で作業を進めたそうだ。「クリスマス前に1サビまでラフにまとめた状態でchelmicoさんにチェックしてもらいました。空間に浮かぶモーショングラフィックスはほぼない状態でしたが、それでもすごく気に入ってもらうことができました」と、鈴木麻雄プロデューサー。早い段階でアーティスト側の信頼を得られたことで、田向監督は画づくりに専念できたという。

使用したDCCツールは、3DCGワークはCinema 4D(以下、C4D)、コンポジットワークはAfter Effects(以下、AE)、カラコレにはPremiere Proが用いられた。「トラッキングはC4D標準のモーショントラッカーを使ったのですが、速いパンには上手くトラッキングできなかったので、そうした箇所は手付けで調整しました。実写は長回しで撮影していたので、フルCGパートに切り替わるタイミングでシーンファイルを分けてCG作業を進めました」(田向監督)。単身で作業を完結させる上では、モデルについては市販モデルをベースに加工したり、Xpressoによる自動化も活用。「グチャグチャという、カオスなビジュアルにするためにchelmicoを増殖させたり、空間に歌詞や『映像研には手を出すな!』からインスピレーションを得たオブジェクトを数多くレイアウトしていきました。ただ、闇雲に乗せてしまうとまとまりのない画になってしまうので、最初の段階で使用する色や質感を5種類くらいにまとめて統一感をもたせるようにしました」(田向監督)。

都内のハウススタジオで撮影された実写プレート


C4Dのモーショントラッカーを使用して、実写プレートからカメラの動きを解析した例。特徴点がトラックポイントとして配置され、おおまかな部屋の形状も把握することができる


CG・VFX作業を進めるのに先立ち、簡単なプリミティブオブジェクトを並べてマテリアルの相性を検証。基本となる色遣いや質感が詰められた


アーティストの増殖や幾何学的に配置される表現ではMoGraphが活用された。図はMoGraphのクローナーでグリッド配列したRachel。X方向とZ方向に4体ずつ、計16体に複製されている


ライティング作業の例。ディフューズした照明2灯、スタジオのシーリングライト、ステンドグラス越しの外光をそれぞれC4Dのライトオブジェクトで再現。影をレンダリングするための部屋モデルはあえてエッジを丸めている


実写合成パートのブレイクダウン例



  • 実写プレート



  • 影素材



  • テーブルより奥のレイヤー



  • テーブル上のレイヤー

一連のコンポジットワークが施された完成形

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03 ショットワーク~コミック調パート~

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