<3>ライブラリを利用したモニタ映像
自社ライブラリを利用したモニタ映像
本作におけるVFXショットは、バレ消しや3DCG、エフェクトの合成など多岐にわたり様々なバリエーションが作成されている。右に掲載した事例は、メンバーのバッティングフォームをモーションキャプチャで分析する画面だが、このようにフルCGで作成されている素材も多い。実際にはモーションキャプチャからアニメーションを作成しているわけではなく、撮影された人物の実写プレートの動きに合わせて3ds MaxのBipedを使ってアニメーションを作成し、バッターの3DCGモデルにスキニングすることであたかもモーションキャプチャを行なっているような映像に仕上げられている。
スウィングするアニメーションは、使い回せるように動きの入りと出の部分がループするように作成されており、人物の実写の動きに合わせてスウィングのタイミングをずらしながら制作していったという。モニタのインターフェイスを構成するメーターなどのアイコンは、日頃から作りためている自社のライブラリを組み合わせて作成することで、制作時間の短縮を図っている。またバッターのモデルも市販のモデルをリモデルして利用しており「効率化のために市販のデータをベースに使っていますが、かなり形状を加工しています。このデータを基に敵チーム用に色替えをしたり効率良く使うことができました。自社のライブラリを使うことと合わせてかなりショット制作の効率化になりました」と末松氏は語る。
ライブラリなどを使うことで効率化を図ってはいるが、とても細かい部分まで手が入れられている。バッターのモデルなどは「監督がフィギュアにして欲しいというぐらいのクオリティに仕上がっている」と小林氏が言うように非常に完成度が高い。効率化はするがクオリティは下げないというZaxxの制作姿勢が窺える事例だ。
▲3ds MaxのBipedを使って実写の人物の動きをトレース
▲バッターのモデルデータにBipedをスキニングして動きを調整
▲(左)Zaxx社内で作りためられているUI系のライブラリの例。図はメーターの素材/(右)同インジケータ素材
▲同スウィングの軌跡を表示するためのサークル素材
▲各素材はAEでレイアウトされる
▲完成したパネルの映像。この映像はパソコン画面に表示される他、空中に浮かぶ3Dスクリーンとして利用されている
▲作成されたモニタ画面を合成するための実写プレート
▲AEでモニタ画面と実写プレートを合成
▲完成ショット