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YP監督とUNDEFINEDが同世代のアーティストと共に手がけたGorilla Attack『隔世 gorilla』MV

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<4>渋谷の街に出現するGorillaと、その結晶化

ポイントクラウドで渋谷の街をコラージュ

Gorillaが渋谷の街中に増殖していくシークエンスでは、MIZUNO氏がGorillaの出現エフェクトのテスト映像をC4Dで作成。そのイメージを基に、Houdiniで完成版の出現エフェクトが作成された。

▲Cinema 4Dで作成したGorillaの出現エフェクトのテスト映像


▲Houdiniで作成した完成版のGorillaの出現エフェクト


▲After Effects上で実写素材と合成したGorillaの出現エフェクト


納期5日前にはクライアントから看板などのバレ消し依頼が入り、Sho Watanabe氏が急ぎ対応することになった。渋谷の街は看板が多いのに加え、手間のかかる液晶看板もあったので苦労したという。「シャッターのロゴを『GORILLA CITY』のロゴに差し替える際には、シャッターにロゴ画像を重ねただけでは貼り付けた感が出てしまうので、シャッターの凹凸に合わせた歪み用のディスプレイスメントマップを作成し、ロゴ画像に適用することで実在感を高めています。看板を差し替える際には、元データから反射部分の情報を抽出し、差し替え後の画像にも反映させることで、よく馴染むようになり、違和感のないルックにできました」(Watanabe氏)。

▲【左】バレ消し後の渋谷の街/【右】完成画像。シャッターには『GORILLA CITY』のロゴ、路上には増殖していくGorillaが追加されている


▲【左】元データの輝度チャンネルやRGBチャンネルから看板の反射部分の情報を抽出する一方で、不要な部分をレタッチで消していく/【右】元データのパースに合わせつつ、Gorilla Attackのアーティスト写真を配置。画像の差し替えや変形に耐えられるよう、スマートオブジェクトを使って作業している


▲【左】元データの輝度レベルとRGB値を確認し、アーティスト写真を調整。俗に言うガンマスラミングを行い、馴染み具合を確認する/【右】完成画像


ポイントクラウドによる渋谷の街の再現は、YP監督とは旧知の仲のNio氏が担当した。「YP監督と一緒に手がけた以前の仕事でも、ポイントクラウドを使った映像を制作しており、その後も研究を重ねてきました。本作でもポイントクラウドによる表現を取り入れたいという依頼があり、参加することになりました。渋谷の街を渋谷のアイテムでコラージュするというのが今回のコンセプトで、例えばSHIBUYA109の背後に浮かぶ無数の星屑は、渋谷のスクランブル交差点のポイントクラウドを重ねて表現しています」(Nio氏)。以前は3ds Maxでポイントクラウドを扱っていたが、本作ではUE4を導入。データ変換やレンダリングの時間を削減できたのに加え、ライティングやフォグの設定も容易で、作業効率が向上したという。

▲【上】Metashapeから受け取ったポイントクラウドデータを【下】UE4に読み込み、ライティングを施し、渋谷の街を再現


▲AE上で【左】レンダリング画像全体に【右】細かなノイズフィルタを適用。


▲【左】プラグインのPixel Sorterでピクセルソートのエフェクトを追加/【右】カラーグレーディングを行なって完成


増殖したGorillaと蛍光灯が結晶化し、朝焼けに染まる渋谷の空に浮遊するシークエンスはNAKAKEN氏が担当した。同氏は点や線で構成された抽象的な映像(アブストラクト映像)の制作を得意としており、本作でもその手腕が発揮された。「結晶化のアニメーションは、C4Dで作成した八面体を変形させ、頂点と稜線にクローナーでGorillaと蛍光灯を複製することで作成しています。本作のラストを飾る重要なシークエンスなので、インパクトのある画を目指しました」(NAKAKEN氏)。望遠レンズでレンダリングした渋谷の街は奥行き感やスケール感が伝わりにくかったため、AE上でdepth、reflection素材などを調整したという。「慣れているアブストラクト映像の制作とはちがい、経験の少ない街並みの表現には苦労しましたが、MIZUNOさんの助言を受けつつ試行錯誤を重ねていき、YP監督がイメージする渋谷の朝焼けを表現できました」(NAKAKEN氏)。

▲【左上】結晶化のテストアニメーションを作成中のC4Dの作業画面/【右上】まずは八面体をシェーダエフェクタのノイズでディスプレイスメントさせ、頂点と稜線にクローナーでGorillaと蛍光灯を複製する手法を試した。ノイズの明暗を変えることで、バラバラだった要素が徐々に組み合わさり、結晶化していくアニメーションを作成している/【下】最終的には、最初の数ショットでのみ本手法を使用した。後半のショットでは結晶のサイズをもっと大きくして、密度も上げてほしいという要望がYP監督から出されたため、本手法では違和感が出るようになり、後述する別の手法で対応した


▲終盤に登場するビルの両脇部分は市販データを活用。中央の連絡橋はBlenderでモデリングし、Substance Painterでテクスチャを作成


▲半ショットの結晶化のアニメーションは、複製したGorillaと蛍光灯をC4Dのランダムエフェクタなどでバラバラにした後、フォールオフの範囲を狭めていくことで作成。OctaneRenderでレンダリングし、AEでコンポジットしている


▲レンダリングの各成分。【左上】beauty/【右上】normal/【左下】refraction/【右下】完成画像。beautyのままでは絵に立体感が出なかったため、normalを使って結晶の左側の面だけを明るくした。さらにrefractionの色に青味を追加することで、神秘的かつ巨大なルックを実現した


▲背景のビル群は、オープンソースの渋谷のフォトグラメトリーモデルをOctane Scatterで複製することで作成。ライティングは、HDRIを使わず、Octane daylightを使用した


▲レンダリングの各成分。【左上】beauty/【右上】depth/【左下】reflection/【右下】depthと、プラグインのTrapcode Shine、Optical Flaresを使って作成したフレア素材


▲reflectionやフレア素材やを使用し、MIZUNO氏のディレクションの下で朝焼けに染まる渋谷の空を表現した



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    cgworld.jp/magazine/cgw267.html

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