<3>半分以上がVFXカット!~最終話~
フルCGで仕上げられた異空間でのラストバトル
最後のエピソードとなる12話では、全138カット中、VFXショットは70以上に達した。なかでもフル3DCGで作成されたラストバトルは約3分半にわたってくり広げられる。異空間でのアクションシーンということで、背景にも非常にこだわっている。「ラストバトルのアクションは、新たな戦闘描写としてプロレス技が織り込まれていました。そのため移動範囲などとの兼ね合いでエンバイロンメントは体育館くらいのサイズに決まりました。ただし、背景の見え方が単調になることを避けるべく、エンバイロンメントに動きのギミックを加えることにしました。壁や柱のモジュールを用意して、カットごとにランダムに配置しています。立ち位置の整合性はカットが変わればまずわからないので、カットバイで見映えを追求しています」(中川氏)。ガラス張りの吹き抜けを組み合わせ、近代的でソリッドなイメージの背景を用意した。なお、このシーンは反射や屈折が多いため、レンダリングは1フレームにつき30~40分を要したそうだ。キャラクターアニメーションについては、まずアクションチームがアクションVコンを作成。アニメーターはそれをトレースするのではなく、参考にしながら全て手付けで動きを付けていった(リグはHuman IKを使用)。
最後にCGスーパーバイザーの佐藤信吾氏とVFXスーパーバイザーの中川茂之氏が本プロジェクトをふり返ってくれた。「今回は監督を務められた方々が自分たちと同世代ということもあって、自分たちの提案を積極的に採用してもらえるなど同じ目線で新たなビジュアルを創り上げていくことができました。これまでのシリーズは特撮としての魅力がありましたが、本作はヒューマンドラマに重きを置くことで、また新たな魅力を引き出せたと思います」(佐藤氏)。「デザイン、エフェクト、世界観、全てにおいて新たなGAROをつくることがメインテーマでした。一筋縄ではいきませんでしたが、過去シリーズでも中心的な役割を担ってきた方々に参加してもらえたことで、チーム一丸となって新たな表現をつくれたかなと思っています」(中川氏)。
最後の敵が誕生するエフェクト、通称・ダークメタルの表現はHoudiniで作成された
GAROが破裂してダークメタルが飛び散る表現にはFlipsolver(DOP)を使用。4つのバリエーションが用意された
【4つのバリエーション】をマージした状態
ダークメタルのブレイクダウン
グレーディングが施された完成形
Mayaで制作した「無限回廊」こと、ラストバトルシーンのエンバイロンメント
カメラ1
カメラ2
カメラ3
パースペクティブ
無限回廊のリファレンスとなったビル内観
ラストバトルのアニメーションは、アクションVコンを参考にしつつ全てキーフレームで作成された。カメラアングルもアクション部のガイドをベースにブラッシュアップ
アクションVコン
アニマティクス
3DCGとしての完成形